注文の多い料理店
宮沢賢治（みやざわけんじ）さんは、
土ようびの夜、じたくに 近所の子どもたちを集めて、
童話 や、外国の昔話を読んで聞かせていたそうです。
子どもがどんな風に おはなし を味わい、
どう楽しむのかをよく知っている人なのだと思います。
たくさん本になっていますが、
『宮沢賢治のおはなし』のシリーズは、
とくに 低学年の人たちが楽しめる おはなし が集まっています。
ふりがな もあるので、低学年の人たちでも こまらないで読めるでしょう。
今日は、このシリーズから『注文の多い料理店』を しょうかいします。
二人の しんし が、狩りをしようと、てっぽうを持って山へ入っていきます。
ずいぶん山おくへ入ったようですが、まだ何も しとめていないようです。
それどころか、おなかがすっかり ぺこぺこです。
そんな時、山おくにもかかわらず、西洋料理店を見つけました。
店の名前は『山猫軒（やまねこけん）』。
二人は、よろこんで入って行きました。
こここそが、「注文の多い料理店」なのです。
「注文が多い」って、どういうことなのでしょう？
メニューがたくさんあるってことでしょうか？
それとも、お客さんが多くて、注文がたくさんで、
てんてこまいしているお店でしょうか？
いいえ、実は、このお店、
お客さんに対していろいろ注文をしてくるお店だったのです。
ブラシでかみをとかして、
くつのどろをおとして、
上着をぬいで、
クリームをぬって、
というように、次々に注文してきます。
二人は、早く何か食べたいのに、なかなか料理にありつけそうにありません。
最後には、塩を体にすりこむようにと言ってきたのです。
変だと思いませんか？
お客さんが自分で自分に塩をすりこむなんて。
まるで料理の下ごしらえをしているみたいです。
つまり、そういうことだったんです。
ちょっとこわいような、ふしぎな おはなし が好きな人は、ぜひ読んでみてください。
