おもしろい本があるところ

子どもたちから「おもしろい本、おしえて!」とよく聞かれるので、ちょっくらおすすめしてみます。

ゾウの森とポテトチップス

 

ゾウの森とポテトチップス (そうえん社写真のえほん)

ゾウの森とポテトチップス (そうえん社写真のえほん)

 

 

表紙(ひょうし)を見てください。

子象(こぞう)がお母さん象にあまえています。

この親子(おやこ)は大きな川を泳いでわたって、やっと岸(きし)にあがったところです。

川をわたっている途中(とちゅう)、子象はおぼれそうになりました。

お母さん象は、体をたおして子象を背中(せなか)に乗(の)せてなんとか助(たす)かりました。

子象はどんなにこわかったでしょうね。

お母さんも、どんなにこわかったでしょうね。

 

象たちは、なぜそんな危険(きけん)をおかしてまで川をわたるのでしょうか。

それは、象たちの食べものが足(た)りなくなっているからだそうです。

象たちは食べものを求(もと)めて危険(きけん)と知(し)っていても川をわたるのだそうです。

では、なぜ象たちの食べものが減(へ)っているのでしょう。

 

ボルネオ島のキナバタンガン川を空から見ると、

周囲(しゅうい)は深(ふか)い緑(みどり)が一面(いちめん)に広(ひろ)がっています。

しかし、よく見ると、森(もり)に見えていた部分(ぶぶん)のほとんどは、

人間(にんげん)が作(つく)った大規模農園(だいきぼのうえん)です。

人間はこの大規模農園で、アブラヤシを育てて、

パーム油(ゆ)を生産(せいさん)しているのです。

パーム油は、私(わたし)たちの暮(く)らしのいたるところで使(つか)われています。

作者(さくしゃ)は、代表的(だいひょうてき)なものとして、

みんなが大好(だいす)きなポテトチップスを挙(あ)げていますが、

他(ほか)にも石(せっ)けんや洗剤(せんざい)の原料(げんりょう)になります。

それから、

マーガリンや植物性(しょくぶつせい)ホイップクリームなどの原料にもなります。

だから、みんなが大好きなお菓子(かし)やパンなどにも使われているのです。

つまり、パーム油は人間の暮らしに欠(か)かせないものになっています。

 

私が環境(かんきょう)にやさしいと思(おも)っていた植物性の石けんの原料が、

こんな風(ふう)に象たちを苦(くる)しめていることを知(し)って、

私は、とてもショックをうけました。

 

この本には、ボルネオ島の色(いろ)鮮(あざ)やかな虫(むし)たちや鳥(とり)たちなど

多(おお)くの生(い)き物(もの)の写真(しょしん)がたくさん載(の)っていて、

ボルネオ島がどれほど自然(しぜん)豊(ゆた)かで、

多(おお)くの生き物が暮らしているかが伝(つた)わってきます。

象たちだけでなく、他の生き物たちの暮らしも脅(おびや)かしているようです。

人間が便利(べんり)に豊かに暮らしている一方で、

多くのもともと暮らしていた生き物たちを苦しめているようです。

 

では、一体(いったい)、私たちはどうすればいいのでしょう。

いきなり原始時代(げんしじだい)みたいな暮らしに戻(もど)すことはできません。

作者(さくしゃ)は、まず知(し)ることから始(はじ)めようと締(し)めくくっています。

まずみんながこのことを知って、

どうしたらいいだろうとみんなが考(かんが)えはじめることが

第一歩(だいいっぽ)のように感(かん)じました。

 

これはほんの一例(いちれい)だと思います。

みんなに知ってもらいたくて、この本を紹介(しょうかい)します。