ともだちは海のにおい
いるか と くじら は、ともだちです。
いるか と くじら が出会った日のことをはなしましょう。
その夜、いるかは眠れなくて、夜のさんぽをしながら星を数えていました。
よく晴れて、しずかで、満天の星空でした。
ゆっくり背泳ぎをしながら、星を見上げて、いるかは、
ああ。星がいっぱい。………なんてしずかなんだろう。
さびしいくらいだ
さびしいくらいしずかだと、コドクがすきなぼくでも、
だれかとお茶を飲みたくなる。
そのすぐ近くでは、くじら も星を数えながら ひとり言を言っています。
ああ。星がいっぱい。………なんてしずかなんだろう。
さびしいくらいだ
さびしいくらいだと、コドクがすきなぼくでも、
だれかとビールを飲みたくなる。
いるかは、声のしたほうへ泳いでいって、話しかけてみました。
「ぼくと飲まない?」と。
飲みたいものはちがっても、同じ気持ちの いるか と くじら です。
まずは、いるかのところでお茶を飲み、
つぎに、くじらのところでビールを飲みました。
いるか と くじら は、いろいろちがうところもあるけれど、
似たところも多くありました。
いるか と くじら は、大きな海にかかえられて、
ゆっくりとおたがいを知り合っていきます。
私は、いるか と くじら の距離感が好きです。
おたがいが、自分の時間を大切にしていて、
相手の時間も大切にしていて。
自分の好きなものを大切にしていて、
相手の好きなものを大切に思っています。
そしておたがい、
そんな ともだちが いることをほこらしく思っています。
長いきかん、ともだちで いつづける秘けつを教えてくれる本です。
ぜひ、読んでみてください。